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美術家 浜田浄さん

こころを豊かにする。」

「こころの空間をひろげる。

"Expand the space in your heart. Enrich your mind."
Kiyoshi Hamada

セブンデイズホテル プラスのロビーに、淡いオレンジ色の抽象画が飾られている。
まるで朝焼けの水平線から陽が昇るような、どこまでも深く、めぐりつづける自然の暖かみを感じます。

この抽象画を描いたのは、高知県黒潮町の出身で、美術家 浜田浄さんの作品です。
作品に近づいてよくみて見ると、彫刻のようにキャンバスの表面が削り取られているような凹凸感があります。

「これは紙です。紙の下地を作っていくんですが、何層にも重ねてそれをナイフのようなもので引っ掻くんです。どんどん削っていくと向こうに光が見えるくらい薄くなる。それをキャンバスに貼り付けているんです。」

 

絵を描くというより、まるで工作をするような独特な手法。

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浜田さんが生まれ育ったのは高知県西部、黒潮町。
当時、その場所は陸の孤島と呼ばれていたくらい交通に不便なところでした。
しかし、交通に不便な反面、自然に恵まれていた場所でもあったそうです。
実家のすぐそばに入野海岸があり、幼少期には、海や川、松林でよく遊んでいたそうです。

1937年。浜田さんが生まれた頃。それは日中戦争、そして南海地震があった時代。
暗くて重く、自由がない時代だったと言います。

「自由がなかったから、自分で自由を求めるには、自分の世界を作っていかなければいけない。幸いにして、自然と戯れるところがあった。

だから自然と戯れるというか、自然の中で何かいろんなものを発見していく。

自然の中で物を作ったりする。

そういうことが根源的な創作の意味を持っている。それは今も実感しますね。」

戦争とういう暗く自由がない時代を体験した事。それとはまったく真逆の自由な世界。
家の近くにあったという入野海岸の豊かな自然の中で、浜田さんは自由を見つけたと言います。
 

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「松林に行って松の枝を落としナイフで削って工作をしたり、そういう事が得意でもあり、それが楽しかった。それがやっぱり自由というか、そういう自由を自然の中で見つけ出したというか...。 入野の浜は、台風の時なんかけっこう荒れるんですね。そうすると流木が流れてくる。その流木を拾って物を作るというのは当たり前にやっていましたね。波打ち際に行って流木の棒っきれで絵を描いたりだとか、そういうものがやっぱりどっかにつながっているものがあるような気がしますね。」

自由な環境で育ったということは幸せだったと語る浜田さん。
幼少期の頃、いろいろな体験の中で見つけた数々の発見。
浜田さんは、今でも作品を制作する中で思い出す事があるそうです。

 「昔の事をよく追想すると、原点はそこにあるとすごく実感します。
そういうものがインスパイアされて作品と連動しているというか。」

「昔の事を思い出すというか、ただ単に懐かしいとか、そういう事ではなくて。
その辺りで自分が意識するしないに関わらず、何かを得たもの。それは僕にとって意味のある事でもあるし、今もその事をすごく大事にしています。」

自然の中で戯れた幼少期。中学時代には絵を描くことも好きだったといいます。

特に紅葉する秋が好きで、水彩画で風景をたくさん描いていたそうです。

「絵を描いていると無心になれるんですね。でも無心になれるんだけれども
何か自分の中で安心するというか、辛いことも沢山あったけれども、安心する事によって次のものが見えてくる場合がある。絵を描いているときには裕福な気持ちになるんです。豊かな気持ちになるというか。そういうのも今につながっていますね。」

 

自然の中で戯れた自由な世界と、描くことで見つけた自由な世界。さらに、抽象という無限の自由の中で作品を作り続けるには葛藤はなかったのでしょうか?

「今でも制作をしている過程で、潮騒の音を耳にするんです。現実に潮騒を耳にしたり見たりする事はないけれども、その幼少の時の記憶の中で、脳裏というよりは、むしろ身体全体が受け止めている何かがあるんです。そういうものは解明できない何かだと。その何かというのが僕の作品の中では、かなり意味を持っていることになっています。だからそこが僕はすごく不思議なんです。例えば、入野の浜に行くのに松林がある。その松林を抜ける風の音とかね。ちゃんと覚えてるんですよ。今も。磯の香りだったり、ちゃんと覚えている。それが忘れられないんです。それが作品を作っているときに思い出す時がある。これがすごく重要なことだと思っています。

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“誰もが見る景色であっても、感じる世界は無限。”

感じるのは自由なんです。見るのは一点ですけれども
感じるのは、さまざまな五感を通していろんな物を感じとっている。
匂いもそうです。潮のにおいも それは見ているのではなく感じているんです。
だから感じることっていうのはすごく大事だと思うんですよ。
つまり、感じることにより、気づくことがある。
抽象というのは、わからないとよく言いますが、わからないで当たり前で、わからないからそこでお終いにするよりも、そこで気づいて、何かを感じとってくれるとすごく嬉しい。それが心の空間を広げるという大事なことだと僕は思っています。

こういう仕事を続けて60年。作品をいろいろな機会で発表しますが、それを見た人が、どういう風に感じとってくれるのか? 一番希望するところなんです。作品を見てくれた人が、これはなんだろうと思う人がいても自由なんですよね。


自由な気持ちで接してくれると、そこで新しい感性っていったらいいのかな、
“心の空間を広げる。心を豊かにする。“ そういう意味合いもあるかと思って。
だからこういう表現を続けるというのが、僕のコンセプトの一つとしてありますね。​​​

浜田浄さん 展覧会

「めぐる 1975——」

 

2025年2月8日(土)

〜2025年4月13日(日)

高知県立美術館にて開催

https://moak.jp/

https://root-k.jp/artists/kiyoshihamada/

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